オートパワーオフ ( 自動電源オフ )
解説
起動した後に一定時間後に自動で電源がオフになる回路とコードについてまとめます。
3種類の回路についてまとめます。
- PチャンネルMOSFETを使用した回路
- NチャンネルMOSFETを使用した回路
- PチャンネルMOSFETとNチャンネルMOSFETを使用した回路
1. 2. の回路は、電源オフ時に電力の消費があります。
3. の回路は、電源オフ時に電力の消費はありません。
1. PチャンネルMOSFETを使用した回路
PチャンネルMOSFETを使用して、自動で電源をオフにすることを可能にする回路を作成できます。
部品表
最低限必要なものは「ハードウェアのセットアップ」参照
部品名 | 数量 | 商品名 | 参考価格 |
---|---|---|---|
PチャンネルMOSFET | 1 | PchパワーMOSFET 60V5A 2SJ681 | 1個40円 |
10kΩ抵抗 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 10kΩ | 100本100円 |
1kΩ抵抗 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 1kΩ | 100本100円 |
タクトスイッチ | 1 | タクトスイッチ(赤色) | 1個10円 |
動作の可視化のための部品
部品名 | 数量 | 商品名 | 参考価格 |
---|---|---|---|
LED | 1 | 3mm赤色LED 625nm 70度 OSR5JA3Z74A | 1個10円 |
150Ω抵抗器 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 150Ω | 100本100円 |
回路図
回路部品名 | 部品詳細 | 備考、目的、効果 |
---|---|---|
V1 | 電源 | 使用するマイコンに適合した電圧・電流の電源。 |
U1 | マイコン | ATmega328P |
S1 | タクトスイッチ | マイコンへ電力を供給する/供給しないを手動で制御できるようにするための部品。 スイッチを押下しているとき、スイッチを通して、マイコンへ電力が供給されます。 |
P-MOSFET | PチャンネルMOSFET | マイコンへ電力を供給する/供給しないを制御するための部品。 PチャンネルMOSFETは、「ソース(S)の電圧 > ゲート(G)の電圧」のとき、ソース(S)-ドレイン(D)間に電流が流れます。 |
R1 | 10kΩ抵抗 | PチャンネルMOSFETのゲート(G)のプルアップのための抵抗。 「マイコンのD8ピンからの出力がないときは、NチャンネルMOSFETのゲート(G)の電圧がソース(S)の電圧と等しくなるようにする」ために必要。 |
R2 | 1kΩ抵抗 | ゲート抵抗。ゲート(G)の充放電電流を制限するために必要。 |
マイコンのD8の出力と、マイコンへの電力供給
- U1のD8の出力がHIGH
- P-MOSFETのゲート(G)の電圧はHIGH。
↓
P-MOSFETの「ソース(S)の電圧 = ゲート(G)の電圧」。P-MOSFETのソース(S)-ドレイン(D)間に電流は流れない。
↓
マイコンへ電力は供給されない。 - U1のD8の出力がLOW
- P-MOSFETのゲート(G)の電圧はLOW。
↓
P-MOSFETの「ソース(S)の電圧 > ゲート(G)の電圧」。P-MOSFETのソース(S)-ドレイン(D)間に電流が流れる。
↓
マイコンへ電力が供給される。
配線例
サンプルコード
実行
1.初期状態は、マイコンのVCCが電源に繋がっていないので、マイコンへ電力は供給されません。
2.タクトスイッチを押下すると、タクトスイッチを通してマイコンのVCCが電源に繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
※注)マイコンへ電源が供給されてからマイコンに書き込まれたプログラムが起動するまでに1.5秒ほど時間が必要なため、タクトスイッチは1.5秒以上押下します。
3.マイコンに書き込まれたプログラムが起動し、setup()関数が実行され、オートパワーオフ制御用のピンの出力がLOWになります。
4.P-MOSFETを通して、マイコンのVCCが電源と繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
5.タクトスイッチから手を離します。
6.オートパワーオフ制御用のピンの出力がLOWの間は、P-MOSFETを通して、マイコンのVCCが電源と繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
7.オートパワーオフのタイムアウト時間が経過すると、オートパワーオフ制御用のピンの出力がHIGHになります。
8.マイコンのVCCが電源と繋がらなくなり、マイコンへ電力は供給されません。
9.オートパワーオフ完了。1.の状態になります。
マイコンに電力が供給されているとき(≒タクトスイッチを押下してから約10秒間)、LEDが点灯します。
電流測定結果
テスターを用いた電流計測の結果(テスターのレンジ設定は、20[mA]設定)
・電源オフ時 : 0.10[mA]
・電源オン時 : 12.88[mA]
電源オフ時に電力の消費があります。
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2. NチャンネルMOSFETのみを使用した回路
「1. PチャンネルMOSFETを使用した回路」は、マイコンのVCCが電源に繋がっている/繋がっていないを切り替えられるようにする回路でした。
NチャンネルMOSFETのみを使用し、マイコンがGNDに繋がっている/繋がっていないを切り替えられるようにすることで、自動で電源をオフにすることを可能にする回路を作成できます。
部品表
最低限必要なものは「ハードウェアのセットアップ」参照
部品名 | 数量 | 商品名 | 参考価格 |
---|---|---|---|
NチャンネルMOSFET | 1 | NchパワーMOSFET 2SK4017 | 1本30円 |
10kΩ抵抗 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 10kΩ | 100本100円 |
1kΩ抵抗 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 1kΩ | 100本100円 |
タクトスイッチ | 1 | タクトスイッチ(赤色) | 1個10円 |
動作の可視化のための部品
部品名 | 数量 | 商品名 | 参考価格 |
---|---|---|---|
LED | 1 | 3mm赤色LED 625nm 70度 OSR5JA3Z74A | 1個10円 |
150Ω抵抗器 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 150Ω | 100本100円 |
回路図
回路部品名 | 部品詳細 | 備考、目的、効果 |
---|---|---|
V1 | 電源 | 使用するマイコンに適合した電圧・電流の電源。 |
U1 | マイコン | ATmega328P |
S1 | タクトスイッチ | マイコンがGNDに繋がっている/繋がっていないを手動で制御できるようにするための部品。 スイッチを押下しているとき、スイッチを通して、マイコンへ電力が供給されます。 |
N-MOSFET | NチャンネルMOSFET | マイコンがGNDに繋がっている/繋がっていないを制御するための部品。 NチャンネルMOSFETは、「ゲート(G)の電圧 > ソース(S)の電圧」のとき、ドレイン(D)-ソース(S)間に電流が流れます。 |
R1 | 10kΩ抵抗 | NチャンネルMOSFETのゲート(G)のプルダウンのための抵抗。 「マイコンのD8ピンからの出力がないときは、NチャンネルMOSFETのゲート(G)の電圧がソース(S)の電圧と等しくなるようにする」ために必要。 |
R2 | 1kΩ抵抗 | ゲート抵抗。ゲート(G)の充放電電流を制限するために必要。 |
マイコンのD8の出力と、マイコンへの電力供給
- U1のD8の出力がLOW
- N-MOSFETのゲート(G)の電圧はLOW。
↓
N-MOSFETの「ゲート(G)の電圧 = ソース(S)の電圧」。N-MOSFETのドレイン(D)-ソース(S)間に電流は流れない。
↓
マイコンへ電力は供給されない。 - U1のD8の出力がHIGH
- N-MOSFETのゲート(G)の電圧はHIGH。
↓
N-MOSFETの「ゲート(G)の電圧 > ソース(S)の電圧」。N-MOSFETのドレイン(D)-ソース(S)間に電流が流れる。
↓
マイコンへ電力が供給される。
配線例
サンプルコード
コードは、「1. PチャンネルMOSFETとNチャンネルMOSFETを使用した回路」のコードと同じです。
実行
1.初期状態は、マイコンがGNDと繋がっていないので、マイコンへ電力は供給されません。
2.タクトスイッチを押下すると、タクトスイッチを通してマイコンがGNDと繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
※注)マイコンへ電源が供給されてからマイコンに書き込まれたプログラムが起動するまでに1.5秒ほど時間が必要なため、タクトスイッチは1.5秒以上押下します。
3.マイコンに書き込まれたプログラムが起動し、setup()関数が実行され、オートパワーオフ制御用のピンの出力がHIGHになります。
4.N-MOSFETを通して、マイコンがGNDと繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
5.タクトスイッチから手を離します。
6.オートパワーオフ制御用のピンの出力がHIGHの間は、N-MOSFETを通して、マイコンがGNDと繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
7.オートパワーオフのタイムアウト時間が経過すると、オートパワーオフ制御用のピンの出力がLOWになります。
8.マイコンがGNDと繋がらなくなり、マイコンへ電力は供給されません。
9.オートパワーオフ完了。1.の状態になります。
マイコンに電力が供給されているとき(≒タクトスイッチを押下してから約10秒間)、LEDが点灯します。
電流測定結果
テスターを用いた電流計測の結果(テスターのレンジ設定は、20[mA]設定)
・電源オフ時 : 0.11[mA]
・電源オン時 : 13.35[mA]
電源オフ時に電力の消費があります。
ダウンロード
3. PチャンネルMOSFETとNチャンネルMOSFETを使用した回路
1. 2. の回路は、電源オフ時に電力の消費がありました。
1. の回路は、「電源 - プルアップ抵抗 - ゲート抵抗 - マイコン - GND」の経路によって電力の消費があります。
2. の回路は、「電源 - マイコン - ゲート抵抗 - プルダウン抵抗 - GND」の経路によって電力の消費があります。
PチャンネルMOSFETとNチャンネルMOSFETを使用して、電源オフ時に電力の消費のない、自動で電源をオフにすることを可能にする回路を作成できます。
部品表
最低限必要なものは「ハードウェアのセットアップ」参照
部品名 | 数量 | 商品名 | 参考価格 |
---|---|---|---|
PチャンネルMOSFET | 1 | PchパワーMOSFET 60V5A 2SJ681 | 1個40円 |
NチャンネルMOSFET | 1 | Nch MOSFET BS170 | 1本20円 |
10kΩ抵抗 | 2 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 10kΩ | 100本100円 |
1kΩ抵抗 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 1kΩ | 100本100円 |
タクトスイッチ | 1 | タクトスイッチ(赤色) | 1個10円 |
動作の可視化のための部品
部品名 | 数量 | 商品名 | 参考価格 |
---|---|---|---|
LED | 1 | 3mm赤色LED 625nm 70度 OSR5JA3Z74A | 1個10円 |
150Ω抵抗器 | 1 | カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W 150Ω | 100本100円 |
回路図
回路部品名 | 部品詳細 | 備考、目的、効果 |
---|---|---|
V1 | 電源 | 使用するマイコンに適合した電圧・電流の電源。 |
U1 | マイコン | ATmega328P |
S1 | タクトスイッチ | マイコンへ電力を供給する/供給しないを手動で制御できるようにするための部品。 スイッチを押下しているとき、スイッチを通して、マイコンへ電力が供給されます。 |
P-MOSFET | PチャンネルMOSFET | マイコンへ電力を供給する/供給しないを制御するための部品。 PチャンネルMOSFETは、「ソース(S)の電圧 > ゲート(G)の電圧」のとき、ソース(S)-ドレイン(D)間に電流が流れます。 |
R1 | 10kΩ抵抗 | PチャンネルMOSFETのゲート(G)のプルアップのための抵抗。 「NチャンネルMOSFETのドレイン(D)-ソース(S)間に電流が流れないときは、PチャンネルMOSFETのゲート(G)の電圧がソース(S)の電圧と等しくなるようにする」ために必要。 |
N-MOSFET | NチャンネルMOSFET | PチャンネルMOSFETのソース(S)-ドレイン(D)間に電流が流れる/流れないを制御するための部品。 NチャンネルMOSFETは、「ゲート(G)の電圧 > ソース(S)の電圧」のとき、ドレイン(D)-ソース(S)間に電流が流れます。 |
R2 | 10kΩ抵抗 | NチャンネルMOSFETのゲート(G)のプルダウンのための抵抗。 「マイコンのD8ピンからの出力がないときは、NチャンネルMOSFETのゲート(G)の電圧がソース(S)の電圧と等しくなるようにする」ために必要。 |
R3 | 1kΩ抵抗 | ゲート抵抗。ゲート(G)の充放電電流を制限するために必要。 |
マイコンのD8の出力と、マイコンへの電力供給
- U1のD8の出力がLOW
- N-MOSFETのゲート(G)の電圧はプルダウン抵抗によりLOW。
↓
N-MOSFETの「ゲート(G)の電圧 = ソース(S)の電圧」。N-MOSFETのドレイン(D)-ソース(S)間に電流は流れない。
↓
P-MOSFETのゲート(G)の電圧はプルアップ抵抗によりHIGH。
↓
P-MOSFETの「ソース(S)の電圧 = ゲート(G)の電圧」。P-MOSFETのソース(S)-ドレイン(D)間に電流は流れない。
↓
マイコンへ電力は供給されない。 - U1のD8の出力がHIGH
- N-MOSFETのゲート(G)の電圧はHIGH。
↓
N-MOSFETの「ゲート(G)の電圧 > ソース(S)の電圧」。N-MOSFETのドレイン(D)-ソース(S)間に電流が流れる。
↓
P-MOSFETのゲート(G)の電圧はLOW。
↓
P-MOSFETの「ソース(S)の電圧 > ゲート(G)の電圧」。P-MOSFETのソース(S)-ドレイン(D)間に電流が流れる。
↓
マイコンへ電力が供給される。
配線例
サンプルコード
実行
1.初期状態は、マイコンのVCCが電源に繋がっていないので、マイコンへ電力は供給されません。
2.タクトスイッチを押下すると、タクトスイッチを通してマイコンのVCCが電源に繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
※注)マイコンへ電源が供給されてからマイコンに書き込まれたプログラムが起動するまでに1.5秒ほど時間が必要なため、タクトスイッチは1.5秒以上押下します。
3.マイコンに書き込まれたプログラムが起動し、setup()関数が実行され、オートパワーオフ制御用のピンの出力がHIGHになります。
4.P-MOSFETを通して、マイコンのVCCが電源と繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
5.タクトスイッチから手を離します。
6.オートパワーオフ制御用のピンの出力がHIGHの間は、P-MOSFETを通して、マイコンのVCCが電源と繋がり、マイコンへ電力が供給されます。
7.オートパワーオフのタイムアウト時間が経過すると、オートパワーオフ制御用のピンの出力がLOWになります。
8.マイコンのVCCが電源と繋がらなくなり、マイコンへ電力は供給されません。
9.オートパワーオフ完了。1.の状態になります。
マイコンに電力が供給されているとき(≒タクトスイッチを押下してから約10秒間)、LEDが点灯します。
電流測定結果
テスターを用いた電流計測の結果(テスターのレンジ設定は、20[mA]設定)
・電源オフ時 : 0.00[mA]
・電源オン時 : 13.45[mA]
電源オフ時に電力の消費はありません。
ダウンロード
参考
・Arduino Microcontroller Self Power Off (with Pictures) - Instructables
・How to Make Auto Power OFF Circuit with Arduino? - Circuit Journal