ボタン押下によるスリープへの移行と、ボタン押下による復帰

解説

ボタン押下によるスリープへの移行と、ボタン押下による復帰についてまとめます。

「スリープへの移行とボタン押下による復帰」をベースに、ボタン押下によるスリープへの移行の処理を追加します。

スリープへの移行とボタン押下による復帰のために必要な処理の手続き

・setup関数内で、スリープに移行する割り込みの設定を行う。
・コンパイラの意図しない最適化を抑制するために、スリープ移行フラグ変数をvolatile変数として宣言する。
・スリープに移行する割り込み関数内では、スリープに移行する割り込みの設定を解除する。
・スリープに移行する割り込み関数内では、スリープ移行フラグを立てる。
・loop関数内で、スリープ移行フラグが立っている場合には、スリープへ移行処理を実施する。
・スリープから復帰した際には、ボタン押下誤動作対策の待ち時間を設ける。
・スリープから復帰した際には、スリープに移行する割り込みの設定を行う。

部品表

最低限必要なものは「ハードウェアのセットアップ」参照

部品名	数量	商品名	参考価格
LED	1	赤色LED 3mm OSDR3133A	100個350円
100Ω抵抗器	1	カーボン抵抗（炭素皮膜抵抗） 1/6W 100Ω	100本100円
タクトスイッチ	1	タクトスイッチ	1個10円

接続例

割り込みピンとして、digital pin 2 (4番ピン) を使用し、
出力ピンとして、digital pin 13 (19番ピン) を使用した場合の接続例

※電源に関する接続は省略（ブレッドボードの一番下の行に外部電源のVCCを、下から２行目に外部電源のGNDを接続する）

サンプルコード

#include <avr/sleep.h> #define LEDPIN (13) volatile int g_gotosleep = 0; void setup() { // スリープ中の消費電力を最小限に抑えるために、 // i) 出力ピンは電流を供給なし // ii) 入力ピンは一定 // にする。 // i) ii) を実現する簡単な方法は、内部プルアップ抵抗を有効にすること。 for( int i = 0; i < 20; i++ ) { pinMode(i, INPUT_PULLUP); } // LEDピンのセットアップ pinMode( LEDPIN, OUTPUT ); digitalWrite( LEDPIN, LOW ); // スリープに移行する割り込みの設定 attachInterrupt(0, sleepSoon, LOW); // INT0端子(２番ピン)の立ち下がりで割り込み発生。sleepNow関数が呼ばれる。 } void loop() { if( g_gotosleep ) { // スリープ移行フラグを倒す g_gotosleep = 0; // スリープ移行 Sleep(); // スリープモード復帰待ち時間 // （これがないと、Wakeのためのボタン押下が、続けて、スリープのためのボタン押下と判定されてしまう） delay( 500 ); // スリープから復帰時の処理 attachInterrupt(0, sleepSoon, LOW); // INT0端子(２番ピン)の立ち下がりで割り込み発生。sleepNow関数が呼ばれる。 } // 1秒間点灯 digitalWrite( LEDPIN, HIGH ); delay( 1000 ); // 1秒間消灯 digitalWrite( LEDPIN, LOW ); delay( 1000 ); } // 外部割り込みの結果呼び出される関数 void sleepSoon() { // 外部割り込み条件の設定を解除 detachInterrupt(0); // スリープ移行フラグを立てる g_gotosleep = 1; } void wakeUpNow() { ; // 何もなし } void Sleep() { // ① アナログ・デジタル・コンバータ機能を無効にする（少しでも電力消費を抑えるため） byte adcsra_old = ADCSRA; // ADC Control と Register Aの設定値の以前の値を保持。 ADCSRA = 0; // アナログ・デジタル・コンバータ機能の無効にする。 // ② スリープモードを設定する（②⑤⑧でセット） set_sleep_mode(SLEEP_MODE_PWR_DOWN); // ③ 割り込み機能を無効にする（④⑤の処理を確実に実行するため） noInterrupts(); // cli()でも同じ // ④ 電圧降下検出機能を無効にする（少しでも電力消費を抑えるため） sleep_bod_disable(); // ⑤ スリープ機能を有効にする（②⑤⑧でセット） sleep_enable(); // ⑥ 割り込み機能を有効にする（④⑤の処理を実行したので元に戻す） interrupts(); // sei()でも同じ // ⑦ 外部割り込み条件を設定する（Wakeするための外部割り込み条件の割込設定） attachInterrupt(0, wakeUpNow, LOW); // INT0端子(２番ピン)の立ち下がりで割り込み発生。wakeUpNow関数が呼ばれる。 // ⑧ スリープ実行（②⑤⑧でセット） sleep_cpu(); // （⑧によってスリープに移行する。⑦で設定した外部割り込みでWakeし、⑨の処理が実施される） // ⑨ スリープ機能を無効にする（⑦で設定した外部割り込みでWakeしたので、スリープを無効にする） sleep_disable(); // ⑩ 外部割り込み条件の設定を解除する（Wakeしたので） detachInterrupt(0); // ⑪ アナログ・デジタル・コンバータ機能を有効にする（Wakeしたので） ADCSRA = adcsra_old; }

実行

１．1秒間隔で点灯消灯を繰り返す
２．ボタン押下によりスリープへ移行
３．ボタン押下によりスリープから復帰
４．移行 １．～３．をループ。

ダウンロード

サンプルスケッチファイル